「お母さんに会いたい。」母を亡くした少女と共に向かうのは地獄の果て―
  • 第77回カンヌ国際映画祭 監督週間正式上映作品
  • アヌシー国際アニメーション映画祭2024 長編コンペティション部門 正式出品作品
また、どこかで会える?

化け猫あんずちゃん

7.19 Fri

イントロダクション

アニメ界新星 久野遥子×日本映画界名手 山下敦弘×世界で活躍する表現者 森山未來

多摩美術大学在学中に制作した短編アニメーション「Airy Me」が第17回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門新人賞受賞。アニメーション・イラストレーター・漫画家と各方面から熱い支持をうける気鋭のクリエイター久野遥子監督。
『カラオケ行こ!』(24)の大ヒットも記憶に新しい、長年映画ファンから絶大な支持を集め続ける日本映画名手・山下敦弘監督。
主役である「あんずちゃん」に、『ボクたちはみんな大人になれなかった』(21)、『ほかげ』(23)他、数々の話題作に出演し、俳優だけでなく多岐に渡るジャンルで国内外で唯一無二の活躍を続ける森山未來
日本の芸術分野をけん引する才能が集結し、いましろたかし原作の『化け猫あんずちゃん』がアニメーション映画化!

今年5月に行われる第77回カンヌ国際映画祭の「監督週間」に日本のアニメーションとして6年振りに選出され、さらに6月に開催される世界最古・世界最大のアニメーション映画祭であるアヌシー国際アニメーション映画祭2024の「コンペティション部門」でも出品が決定。37歳の化け猫に世界が大注目!

本作では実写で撮影した映像からトレースし、アニメーションにする「ロトスコープ」という手法を採用。従来では、演奏シーンやダンスなど人間の動きをリアルにアニメーション化する事で用いられる事が多いのだが、本作では撮影現場でしか生まれない「お芝居」をアニメーションに落とし込む事に注力している。もうひとつ大事な要素が、セリフの同時録音である。その現場でしか生まれない掛け合いによる役者の「声」も同時に録音する必要がある。その為、実写班には山下監督を中心とし、実写映画界の優秀なスタッフが集結し、映画撮影そのままの撮影を敢行。そして、その映像や音声をもとに久野監督が緻密な芝居から抽出するエッセンスを吟味し、スタッフと共にアニメーションを作り上げている。

あの森山未來が実写映画同様に動き話す姿を撮影しておきながら、映画館で目にするのはアニメーションで表現された完全に化け猫の“あんずちゃん”という、贅沢ともいえる、徹底的にこだわった制作方法。実写で役者が演じた登場人物たちはその魅力を活かしながら、久野監督デザインによるキュートなキャラクターに変貌をとげ、ロトスコープアニメーションならではの生き生きとした動き・表情で動き回る特別な仕上がりは可愛くもどこか現実味のある未だかつて観た事がないアニメーション映画となっている。

脚本は『苦役列車』(12)でも山下監督とタッグを組み、監督としてクリストファー・ドイルと撮影タッグを組んだ異例の経歴を持ついまおかしんじが執筆。撮影に『リンダ リンダ リンダ』(05)『苦役列車』 など多くの山下作品でカメラを握る池内義浩。衣装は『シン・ウルトラマン』(22)『竜とそばかすの姫』(21)など実写、アニメーション関わらずアーティスト、演劇と幅広いジャンルで活躍し続ける伊賀大介が担当。森山の他キャスト(声・動き)に、あんずちゃんと共に過ごす少女“かりん”を山下監督の『1秒先の彼』(23)でもフレッシュな魅力を発揮した五藤希愛、かりんの父を青木崇高、母を市川実和子、おしょーさんを鈴木慶一、さらに水澤紳吾吉岡睦雄宇野祥平ら名バイプレイヤーたちも集結。鈴木は本作の音楽も担当し、独特な世界観を味のある繊細な音楽で彩る。また主題歌を佐藤千亜妃が本作のための新曲『またたび』を書き下ろした

実写映画の精鋭たちが勢ぞろいする中アニメーションには、アートディレクターをアカデミー賞ノミネート作品である『レッドタートル ある島の物語』(16)で背景を担当したJulien De Man。コンポジット開発にはイギリスでVFXアーティストと活躍するGuillaume Cassutoが参加。キャラクターデザインは監督である久野が自ら手掛け、作画監督を石舘波子(『ペンギン・ハイウェイ』(18)作画監督)、中内友紀恵(『あはれ!名作くん』作画)が務めている。本作ならではの最強の布陣が実現した。

また、アニメーション制作では『クレヨンしんちゃん』や『ドラえもん』で知られ、『窓ぎわのトットちゃん』など繊細な芝居を得意とするスタジオである「シンエイ動画」と、カンヌ国際映画祭やアヌシー国際映画祭で数々の賞を受賞し、新進気鋭のフランスのスタジオ「Miyu Productions」が長編として初の日仏共同にてアニメーションを制作。 シンエイ動画がキャラクターの動きを描き、Miyu Productionsが背景美術と色彩を担う。

実写×アニメーション。
日本×フランス。
ジャンルや国を超えた才能がタッグを組んだ、前代未聞のアニメーション映画ついに公開!

ストーリー

雷の鳴る豪雨の中。お寺の和尚さんは段ボールの中で鳴いている子猫をみつける。その子猫は「あんず」と名付けられ、それは大切に育てられた。
時は流れ、おかしなことにあんずちゃんはいつしか人間の言葉を話し、人間のように暮らす「化け猫」になっていた。
移動手段は原付。お仕事は按摩のアルバイト。現在37歳。そんなあんずちゃんの元へ、親子ゲンカの末ずっと行方知れずだった和尚さんの息子・哲也が11歳の娘「かりん」を連れて帰ってくる。しかしまた和尚さんとケンカし、彼女を置いて去ってしまう。
大人の前ではいつもとっても“いい子”のかりんだが、お世話を頼まれたあんずちゃんは、猫かぶりだと知り、次第にめんどくさくなっていく。
かりんは哲也が別れ際に言った「母さんの命日に戻ってくるから」という言葉を信じて待ち続けるも、一向に帰ってこない。母親のお墓に手を合わせたいというささやかな望みさえ叶わないかりんは、あんずにお願いをする。「母さんに会わせて」
たった一つの願いから、地獄をも巻き込んだ土俵際の逃走劇が始まるんだニャ。

スタッフ

監督:久野遥子

コメント
学生のころ偶然本屋でいましろたかし先生の漫画を見つけて、なんて実直に人間を描いているんだと衝撃が走りました。なので「化け猫あんずちゃん」の監督オファーは本当に嬉しかったです。
ロトスコープは実写映像を元に絵を描く手法な為、リアルな身体表現のために使用することが多いのですが、私はお芝居の魅力を表現することにも向いていると思っていました。
山下監督が映し出す温度のあるお芝居を冷ますことなくアニメーションで再構築する体験は贅沢で痺れました。
そして、Miyu Productionsによって描かれた美術と色彩は、見慣れた日本の風景をこんなに新鮮な景色にするのだと驚きました!
そんな風景を生き生きと動き回るあんずとかりんをぜひ劇場で体感してください!

profile
多摩美術大学在学中に制作した短編アニメーション「Airy Me」が第17回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門新人賞を始め多数の受賞、海外映画祭での上映にて一躍注目を集め、岩井俊二監督『花とアリス殺人事件』(15)にて23歳という若さでロトスコープディレクターに抜擢。
その後もNHKEテレの人気人形劇『ガラピコぷ~』OPアニメーションなどアニメーション作家として活動する傍ら、商業アニメーションとしてTVアニメ『宝石の国』、『BEASTARS』、『映画クレヨンしんちゃんシリーズ』などでも頭角を現す。
自著『甘木唯子のツノと愛』にて第23回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を獲得。
加藤シゲアキ『オルタネート』(新潮社)の表紙イラストや東京書籍発行令和6年度『道徳』教科書の表紙・中面のイラストレーションを担当。
アニメーションのみならず、イラストレーター、漫画家と多方面で活躍。
山下監督とは、日中韓文化事業による『東アジア文化都市2019豊島PR映像』(短編)にてタッグを組んでおり、本作が長編初監督作品になる。

監督:山下敦弘

コメント
漫画『化け猫あんずちゃん』はいつか映像化したいと思ってはいましたが、まさか長編アニメ映画として作ることになるとは思ってもいませんでした。共同監督の久野遥子さんは時に原作から逸れて行ってしまう自分を何度も引き戻してくれて、原作への愛情の深さに自分自身、とても影響を受けました。主人公“あんず”にはずば抜けた身体能力を持った森山未來しかいないと、自分の中で決めていて、“猫”という難しい演技を森山くんは期待以上に表現してくれました。企画の立ち上げから7年以上の月日が経とうとしていますが、唯一無二の映画が出来上がりました!是非、スクリーンで観てください。

profile
1976年生まれ、愛知県出身。大阪芸術大学卒。『どんてん生活』(99)、『ばかのハコ船』(03)、『リアリズムの宿』(04)と“ダメ男三部作”をとっかかりに05年『リンダ リンダ リンダ』がスマッシュヒットを飛ばし、続く『天然コケッコー』(07)では第32回報知映画賞監督賞、第62回毎日映画コンクール日本映画優秀賞などを受賞。その他、映画作品に『マイ・バック・ページ』(11)、森山未來主演『苦役列車』(12)、『もらとりあむタマ子』(13)、『味園ユニバース』(15)、『オーバー・フェンス』(16)とキャリアを順調に積み重ね、作家性と娯楽性とを兼ね備えた作風を確立してゆく。『ハード・コア』(18)では第69回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。
その後も、宮藤官九郎脚本『1秒先の彼』(23)や野木亜紀子脚本による『カラオケ行こ!』が大ヒット公開中。
久野監督とは、日中韓文化事業による『東アジア文化都市2019豊島PR映像』(短編)にてタッグを組んでおり、本作が長編アニメーションとして初監督となる。

脚本:いまおかしんじ

プロフィール
1965年生まれ。大阪府出身。
瀬々敬久、神代辰巳らの助監督を経て『彗星まち』(95)で監督デビュー。
2011年にはクリストファー・ドイルを撮影にむかえた日独合作映画『UNDERWATER LOVE おんなの河童』を発表。代表作に『たまもの』(04)、いましろたかし企画・原案『あなたを待っています』(16)、『れいこいるか』(20)では同年「映画芸術」にてベスト第1位を獲得。 脚本家としても活動しており、『苦役列車』(12)、『超能力研究部の3人』(14)『銀平町シネマブルース』 (23)などがある。

音楽:鈴木慶一

プロフィール
1951年8月28日生まれ。東京都出身。72年に “はちみつぱい” を結成。 74年にアルバム「センチメンタル通り」を発表し解散、 翌年”ムーンライダーズ”を結成。76年にアルバム「火の玉ボーイ」でデビュー。2022年には10年ぶりの新作をリリースし、2026年には50周年を迎える。バンド活動と並行して、アイドルから演歌まで多数の楽曲を提供すると共に、膨大なCM音楽を作曲。ゲーム「Mother」、「Mother2」の音楽は、今でも世界中に多数の熱狂的なファンを持つなど、国内外の音楽界とリスナーに多大な影響を与えている。 映画音楽では、北野武監督「座頭市」「アウトレイジ最終章」の音楽で、第27回日本アカデミー賞最優秀音楽賞。「座頭市」では第36回/シッチェス/国際カタルニヤ映画祭オリジナル楽曲賞も受賞した。 俳優としての顔も持つ。

主題歌

「またたび」佐藤千亜妃(A.S.A.B)

【コメント】
人は誰しも、"あの夏"の思い出があるんじゃないかと思います。祭りの音、ぬるいラムネ、通り雨。
「化け猫あんずちゃん」は日常と摩訶不思議な世界が隣り合わせにある作品で、まさに幼少期の頃に見た真夏の夜の夢のようです。
そして主題歌「またたび」は、それぞれの胸の中にある"あの夏"に思いを馳せる楽曲になったかなと思います。痛みを抱えながらもそれでも生きてゆく、全ての人生へ。その人生が、素敵な旅になりますように。

プロフィール

シンガーソングライター。音楽活動のため、高校生の時に岩手県から上京し、大学の同級生とバンド「きのこ帝国」を結成。 Vo/Gt/作詞作曲を担当(2019年5月27日に活動休止を発表)。現在はソロで活動中。
ビートミュージックへの緩やかな音楽性のシフトチェンジで、独自のサウンドスケープを築く。2023年6月28日には3rdアルバム「BUTTERFLY EFFECT」をリリース。TikTok × Spotifyの共同応援プログラム
”Buzz Tracker” Monthly Artistに抜擢され、TikTok急上昇チャート1位を記録した「夜をループ」、宇多田ヒカル「Automatic」のイントロをサンプリングした「タイムマシーン」を含む11曲を収録。
更に音楽ユニットYOASOBIのボーカル・ikuraとしても活躍している幾田りらをゲストボーカルに迎えたコラボ曲「線香花火 feat. 幾田りら」は各所チャートにランクイン。

その他、CMやRyohu、春野、KERENMIの楽曲への歌唱参加、亀梨和也、Da-iCE、SCANDAL、森七菜、私立恵比寿中学などアーティストへの楽曲提供・プロデュースを手掛けるなど、
活動は多岐にわたり、ピース又吉直樹氏の初作詞楽曲『日常みたいな』の作曲・歌を担当したコラボ動画がYouTubeで反響を呼ぶなど話題が絶えない。

様々な音楽ジャンルの要素をちりばめながらポップスに昇華させるメロディと、心の機微や情景描写を見事に表現する言葉選びと歌声は、
音楽ファンのみならず数々のミュージシャン、タレント・俳優、クリエイターなどからも支持されている。

監督:久野遥子・山下敦弘 原作:いましろたかし『化け猫あんずちゃん』(講談社KCデラックス刊)
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